72. 知っておきたい有名なname reaction
今回は、著名な人名反応(name reaction)を4つ紹介します。産業的にも重要な反応ですので、反応機構はともかく、その目的は知っておきたいものです。
Hofmann転位
カルボン酸アミドを臭素及び水酸化ナトリウム存在下のアルカリ水溶液で処理すると、カルボニル基を失いアミンが得られる転位反応です(図1)。

図1 Hofmann転位の反応機構
反応機構はややこしく見えますが、簡単に書くと図2の反応式で表すことができます。

図2 Hofmann転位の代表的な反応式
Wittig反応
リンイリド(phosphorous ylide)を用いて、ケトンやアルデヒドなどのカルボニル化合物からアルケンを合成する反応です(図3)。Wittigは1979年にノーベル化学賞を受賞しています。

図3 Wittig反応の反応機構
Baeyer-Villiger転位
Baeyer-Villiger酸化ともいわれ、ケトンを過酸で酸化してエステルに変換する反応です(図4)。Baeyerも1905年にノーベル化学賞を受賞していますね。

図4 Baeyer-Villiger転位(酸化)の反応機構
Suzuki-Miyauraカップリング
パラジウム触媒存在下、有機ホウ素化合物と有機ハロゲン化合物とをクロスカップリングする反応(図5)で、比較的温和な条件で炭素同士を結合する優れた反応としてよく使われています。 2010年に鈴木章博士がノーベル化学賞を受賞したのは、記憶に新しいところです.

図5 Suzuki-Miyaura(鈴木・宮浦)カップリング反応
【参考文献】
1) 富岡 清監訳:人名反応に学ぶ有機合成戦略,pp.28-29,pp.210-211,pp.448-449,pp.486-487,化学同人(2006).