74. ミニ知識:実験器具の英語表記

カタカナ表記されているものは英語と思いがちですが、医学や化学の分野ではドイツ語に由来するものが多くあります。
例えば、実験器具で「メス」が接頭語でついているものはドイツ語です。「メス」はドイツ語の「messen=測る」からきています。いくつか解説してみましょう。

 

「メスシリンダー」はドイツ語の「messzylinder」が語源で、「zylinder」は「円柱」、「円筒」、「気筒」という意味です。「zylinder」の語源は古代ギリシャ語で、「転がる物」を意味しています。英語では「graduated cylinder」といいます。「graduated」は「目盛りをつけた」という形容詞です。

 

「メスピペット」はドイツ語の「messpipette」が語源で、ピペットは元々「管」を意味する古フランス語の「pipe」に由来しています。

「ホールピペット」もドイツ語の「vollpipette(ヴォルピペッテ)」に由来しています。「voll」は英語の「full」にあたります。

メスピペットは英語で「graduated pipette」或いは「measuring pipette」で、ホールピペットの英語名は「volumetric pipette」です。

 

「メスフラスコ」も英語ではありません。「volumetric flask」となります。

フラスコはラテン語やポルトガル語が語源であり、元来は「瓶」や「樽」の様な容器全般を意味しています。それが日本では主に化学実験で用いる容器の意味として使うようになったと思われます。

 

参考までに、表1に汎用的な実験器具の日本語と英語の対比リストを掲載しておきます。

 

ところで駒込ピペットは「komagome pipette」として世界で知られています。

1920年代に東京都立駒込病院第5代院長の二木謙三先生によって、安全で迅速に液体試料を採取する為に考案されたピペットで、病院の名前に由来しています。厳密な計量に適しませんが、実習等では手軽に試料を計量出来るので、世界中で広く用いられています。

table1

表1 汎用的な実験器具の日本語と英語の対比リスト(日本語五十音順)

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