68.歴史は繰り返されるか?!「企業の研究所」

 会社などで組織のトップが変わると、必ずと言っていいほどその下の組織を改編します。これまでの仕組みを改善することですが、前任者のやり方を否定・修正していることにもなります。 

 私見ですが、組織の配置は上位者や外部の視点では重要ですが、その仕事を担っている「人」が大切なので、組織をいじってもあまり改革は進みません。(もちろん、見た目が大切ということは理解していますが・・・) 

 しかし、企業の組織編成がドラスティックに変わることがあります。 

 例えば、研究機能を有している企業が、基盤研究部門を廃止して事業部直轄の研究所だけを残すということが以前はありました。 

 今から二十数年前に「中央研究所の時代の終焉」という書籍が出版されて、それと相前後して巨大中央研究所不要論が台頭し、その流れで多くの企業が、基盤研究や新しい研究の種を見つけることを目的とした研究組織を、縮小・廃止していきました。(この本の内容はそれを提言していたわけではないのだけれど・・・) 

 ところが、そうしてしまった企業のいくつかは、しばらくして改革が必ずしも正しくなかったこと、つまり開発力が落ち、企業の技術ポテンシャルが下がることに気づきました。 もちろん「昔のほうがよかった」とは言えないので、形や名称を変えて、その機能を復活させています。

開発ではなくいわゆる「研究」をする要員数やその内容には議論の余地はありますが、企業の将来の強みの源泉となりうる研究機能を潰したり、縮小して開発部門の中に置いたりすること適切とは思えません。どうしても目先の短期的な開発が優先されてしまいます。 

研究所としての独立性を保つべきです。 

 歴史はウェーブのように振幅をもって繰り返されていきます。この縮小・廃止→復活の経緯が示すように、会社内の組織も同じような繰り返しが起こります。 

組織を変えた人のメンツもありますので、朝令暮改のようにはなりませんが、数年から十年単位で変化します。私はそれを「揺り戻し」と言ってます。振れ幅が大きいほど、逆の振幅をもつ揺り戻しが必ずおこります。 

 しかし、振幅はないほうがよいです。結局のところ組織が人を動かすのではなく、組織は人で動くわけですから。組織を改編するエネルギーをしっかりとしたマネージャーの育成に注ぐべきです。 

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