75.講演の前に私が練習していること
若い頃、社内の発表会や学会での講演が予定されていると、何日も前からとても緊張する人でした。信じられないかもしれませんが、原稿を作って読むことすらしていました。
著名な先生などが自分の発表の直前まで、スライドを入れ替えたり、少し修正を加えたりするのを見て、自分もいつかはそうなりたいなぁと思っていました。
そんな私もいつの間にか、緊張せずに講演できるようになりました。場数をたくさん踏んだということなのでしょう。正確に言えば、登壇するまでは多少の緊張感はありますが、演壇に立てばそんなものはどこへやら、勝手にスイッチが入ります。講演が30分でも40分、60分でも、練習せずにその時間に収めることもできます。むしろ社内のプレゼンテーションの方が緊張しました。多分、発表することによって、テーマが改廃されたり、予算の額が決まったりするからでしょう。
もちろん、会の趣旨にあうような体裁にして講演の内容(スライド)はきちんと準備しておきます。でも、前の演者の話を聞いて、スライド1枚追加したり修正したり、発表直前まで作業するようになりました。その部分では、私も著名な先生の仲間入りをしたのかもしれません。(もちろん冗談です。)
さて、このような講演をする、人前でプレゼンすることに慣れきったと思われていて、お世辞でも講演が面白いと言われる私でも、発表の「ある部分」の練習は、いまだに入念に行っています。
それは、落語でいう「マクラ」の部分、自己紹介も含めて、冒頭から本題に入っていく話の流れ、つまりスライドにない部分について、一生懸命考えて練習しています。この最初のトークの良し悪しが、会場の人が私と私の発表に興味をもってくれるかどうかを決めると思っています。声には出してまではしませんが、頭の中でトークの練習を、もしかすると何十回もしています。歩きながら、電車の中で、湯船につかりながら、試行錯誤しながら繰り返します。
これでも、入念に準備をしてから講演に臨んでいます。
そうは見えていないようですが(笑)