98.YOKOGUSHI
学会や展示会では、研究成果や自社製品をポスターで発表するセッションがあります。それぞれのポスターの前にはその内容に興味のある人たちが集まり活発な質疑応答がされるのですが、発表者だけがポスターの前に1人ポツンと立っていることもあります。
先日も分析関係のイベントでも、そのような光景がありました。私は、最近はそのようなポスターに足を運ぶように心がけています。発表者の辛さがよくわかりますし、自分が「さくら」になればよいという考えもあります。
そのポスターは遠目にも私の全くの専門外の発表であることはわかりましたが、発表者に声をかけました。
「この分野は素人なのですが、その自分にもわかるように簡単に説明をお願いできますか」
話を聞いてもそこで紹介されていた装置の原理は殆どわかりませんでしたが、自社の装置をこれまでとはちがう領域で使えないかという調査も兼ねて発表しているという意図がわかりました。そこでこの原理を理解できそうな先生をポスターまで引っ張っていき紹介しました。討論会後に連絡をいただきました。その先生が新しい展開をひらめいたようで、あらためてデスカッションすることになったそうです。
ちょっと私も役に立ちました。
わたしはこれと同じような行動を立食形式の懇親会でもしています。たまたま隣になった先生や企業の方に、
「○○さんを知っていますか?ご存じないなら紹介します、ちょっと待っていてください、連れてきます。」
「○○先生。私もたった今知り合いになったばかりだけど、この方はこういうことをしていると聞きました。紹介します。」
先日、創業75周年を迎えられた「日本電子株式会社」には、YOKOGUSHIという概念があります。
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「YOKOGUSHI」とは、最先端技術分野におけるソリューションを提供するための、当社独自の行動様式です。
今の時代にはないモノ・コトを生み出すには、既存の方法だけではなく、枠を超えた新たな発想とつながりが必要です。理科学・計測機器メーカーのリーディングカンパニーとして市場の高度なニーズに応え、社会の様々な分野に装置を提供してきた当社は、他には類を見ない製品ラインアップの幅広さを持ち合わせています。それら一つひとつの製品を有機的かつ横断的に組み合わせ、横串を通すことにより、まだ誰も見たことのない次世代のソリューションやアプリケーションの開発が実現します。
こうしたイノベーションを生み出すための行動様式が「YOKOGUSHI」戦略です。
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(https://www.jeol.co.jp/corporate/yokogushi/より引用)
このような高度な志は私にはありませんが、「人と人をつないでそれぞれのソリューションにつながる行動」を促すきっかけづくは、まだ出来るかなと思っている次第です。