128. 機能性表示食品の問題についてあらためて考えてみた

 1月8日の日本経済新聞で次のような記事を見つけました。 

 紅麹(こうじ)原料を含む機能性表示食品の健康被害問題で、大阪大学の研究グループは7日、日本腎臓学会の会員医師から寄せられた患者192人の調査結果を発表した。腎機能障害が確認された患者のうち、追跡調査した87%で、腎機能の働きが基準値を下回ったままだった。研究グループは「患者の経過を長期に追う必要がある」としている。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE07BVY0X00C25A1000000/ 

 

  心より一日も早い回復をお祈りしています。 

 

  いわゆる紅麹サプリメントの問題について一度コラムを書いていますが、その後の動きを少しまとめてみます。 

 厚生労働省は(2024年9月)18日、小林製薬(大阪市)が製造した紅麹配合サプリメントによる健康被害について、原料から検出された青カビ由来の「プベルル酸」が腎障害を引き起こしていたと発表した。
https://www.mhlw.go.jp/content/001305186.pdf 

 

 「食品工場などで見つかる種類ではなく、あまり研究が進んでいない比較的珍しい青カビ」(千葉大学真菌医学研究センター 矢口貴志 准教授)という見解もあります。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240610/k10014473581000.html 

原因物質ははっきりしたが、混入元がどこかは実は明らかになっていない(公表されていない)ように思います。 

 

規制強化の動きもありました。

 紅麹のサプリメントのような「機能性表示食品」は届出制であり、当時の制度では検査の体制などについて厳格な基準は義務づけてられていませんでした。消費者庁は「機能性表示食品」について、制度の信頼性を高めるためにGMP(適正製造規範:Good Manufacturing Practice)の要件化を発表しています(施行:2024年9月1日、実施:2026年9月1日)。これにより原材料受入れ、中間品、製品出荷時の試験検査の実施や記録の管理、機器のバリデーションなどが求められます。さらに、特定保健用食品についても同様の措置を講じる方針であり、保健機能食品のGMP指針への対応が今後広く求められると考えられます。
https://www.an.shimadzu.co.jp/news-events/2025/202501/gmp.html 

 

 以前のコラムの見解とダブるところがありますが、業界の要望を受けて、規制緩和の一環として、国民の健康に資する目的で「機能性表示食品」という新しい仕組みが出来たと理解しています。大切なことは、緩和された部分は限定的なもので、人が食するものを製造・販売していることを、各メーカーは改めて肝に銘じなければいけません。

 

 また、日本人には性善説が根付いていて、国が認めたものやブランド、響きのいい伝統的な言葉を謳っているものを信頼しがちです。製造管理側のリスク評価・管理が重要であることはもちろんですが、消費者も美辞麗句に惑わされず、正しい知識をもつことが求められる時代です。 

 

最後に一言。
小林製薬さんの製品にファンは多いと思います。私もそこで働く研究者の方を何人も知っています。一般消費者が喜ぶ製品を、研究を通じて世に出し続けてください。 

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