181.「企業は「最先端の知」で経営戦略の決定を」は示唆に富んでいます
今年の1月5日の日本経済新聞「経済教室」に掲載された清水洋早稲田大学教授の論文の紹介です。
要約すれば、「持続的なビジネス機会の源泉は、公開情報や外部変化の察知する能力ではなく、自社のR&Dから生み出される「情報の非対称性」にある。R&Dは経営戦略を高度化する中核機能と位置付けるべきである」というになります。
研究者、技術屋が訴えたいことが論理立てて明快に主張されています。
この論文のポイントをChatGPTの助けを借りて整理してみました。
1.情報の非対称性がビジネス機会
- 情報が偏在すると資源配分の歪みが生じ、超過利潤が生まれる
- しかし参入が進むと非対称性は消滅し、利潤は逓減
2.外部変化依存の限界
- 情報拡散が高速化し、外部環境由来の非対称性は短命
- 需給調整型のビジネスはイノベーションになりにくい
3.R&Dの役割転換
- R&Dは新しい知識を生み出し、自ら非対称性を作る行為
- R&Dの真の成果は新製品ではなく「より優れた戦略」の獲得
4.戦略とR&Dの相互作用
- トップダウン型(戦略→R&D)では新規機会を捉えにくい
- 知識集約産業ではR&Dが戦略を主導しなければならない
5.最先端情報へのアクセス
- 価値ある情報は論文・特許以前の構想段階に存在
- 学術コミュニティや博士人材がその鍵となる
6.日本企業の課題
- 研究人材量は十分だが、博士人材の活用・研究の質が弱い
- 科学との結びつきが弱く、それがR&Dの競争力が低下させている
これらのことから導かれる経営・R&D戦略に対する示唆としては以下のようなものがあります。
1.経営戦略への示唆
- 競争優位の源泉は市場分析力より知識創出力
- 戦略策定のインプットを「公開情報」から「自社R&Dの知見」へシフトすべき
- 中央研究所や基礎研究をコストセンターではなく戦略資産として扱う
2.R&Dマネジメントへの示唆
- R&DのKPIを「製品化件数」から、戦略オプションの創出、未確立技術領域での先行ポジションへ拡張すべき
- 博士人材を「専門作業者」ではなく、外部知識へのゲートウェイ、未成熟領域の評価者として位置づける
3.オープンイノベーションへの示唆
- 自前R&Dが弱い企業ほど、外部技術を高値掴みしてしまう
- オープン化はR&D強化の代替ではなく補完である
少なくとも自社の技術力を自認する中核企業の経営者に読んでもらいたいものです。
当然、読んでいますよね・・・

