82. 名言あれこれ
今回はいろいろな名言を紹介します。
「人々が欲しいのは1/4インチ・ドリルではない。彼らは1/4インチの穴が欲しいのだ。」
先日、講演会で恥ずかしながら私は初めてこの言葉を聞きました。
マーケティングの権威セオドア・レビット博士が『マーケティング発想法』で紹介した、顧客が求める価値は何かを改めて考えさせてくれるとても有名な言葉だそうです。
ドリルメーカーは、「顧客のニーズに合った」ドリルを提供しよう、品揃えしようと考えますが、顧客のニーズの本質はその大きさの穴が欲しいのであって、手段は必ずしもドリルでなくてもいいという意味です。なるほど。でも、「顧客が1/4インチの穴が欲しいのは何故か?」というところに本質があり、その追求から新しいビジネスが生まれるように思います。
「もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは「もっと速い馬が欲しい」と答えていただろう」
コラム「15.顧客の本質ニーズにこたえる技術こそがイノベーションを生み出す」でも紹介した自動車王ヘンリー・フォードの言葉です。 私も講演の最後のスライドで引用しています。この一文だけでは意味が分かりにくく背景説明が必要なで、シンプルな名言という類ではありませんが、技術発のイノベーションのあるべき方向性を示しています。
「私たちはどこから来たのか 私たちは何者か 私たちはどこへ行くのか 」
これは名言というわけではありませんが、技術系のトップクラスが、講演会で下の絵画をスクリーンに映しながら聴衆に語りかけます姿をよく見ます。ゴーギャンの最も有名な絵画の1つのタイトルです。(絵の左上にこのフレーズがフランス語で書かれている言葉だそうです。)
真偽はわかりませんが、「私たちはどこから来たのか 私たちは何者か 私たちはどこへ行くのか 」を最初に使ったのは野依良治先生と聞いた記憶があります。
若者に自分や会社の方向性を考えさせるという意味ではよいフレーズですが、へそ曲がりの私は「私たちはどこへ行くのか」というビジョンを示せないCTOはどうなんだろうと、聞くたびに思っていました。会社の進むべき道を科学技術視点に立って自ら説いてほしいものです。
「真理は単純で美しいものである」
入社面接のとき、人事部の担当者からこの言葉についてどう思うかと聞かれました。出典はアインシュタインの名言「自然の法則はシンプルで美しい。」だと思うのですが、聞き間違いなのか人事の方が多少アレンジしたのか、このフレーズが私の記憶の中に残っています。
さて、へそ曲がりの私はなんと答えたでしょう。
もちろん、そのときは、アインシュタインの名言とは知りませんでした。 天に唾を吐いたかもしれませんが、今思えばそれほど的外れでもなかったかなと思っています。
それでは、私の答えは来週のコラムで。