2.上司は役割を分担して演じることが望ましい
私は、組織には「怖い人」と「優しい人」とが揃っていることが必要だと思っています。「怖い人」というのは、部下に「恐れられる人」という意味です。
例えば、トップが怖い人であれば、ナンバー2は優しい人、もちろんそれが逆でもよいでしょう。
トップ(所長や部長)が厳しい発言をしたとしても、穏やかにかみ砕いて説明を加えたり、上司が部下を叱ったときにフォローを入れてくれたりするナンバー2が必要です。
上層部がそろいもそろって全員優しく、下が心地のよいと感じるようでは、部下から舐められてしまいます。上が全員怖いと、組織が委縮します。
組織の中で怖い人、優しい人とは、その人の普段の性格ではなく、役割であるということが大切です。
私は、怖い人だったようです。言い方が単刀直入であったせいかもしれません。あるいは部下は私が専門性の高い人間と誤解していて、間違っていることを言ったら馬鹿にされるとでも思っていたのかもしれません。私はその誤解を利用して、怖そうな人を演じることにしました。
有り難いことに、私にはうまくフォローの解説をしてくれる職場のナンバー2やベテランがいて、組織の融和に努めてくれました。
部下から親しみを持たれたいと思うし、好かれたいと思うのは人情です。もし自分が優しい人を通したいのであれば、部下に恐れられる役回りの腹心をつくっておく必要があります。そういう人材が見つからないのであれば、嫌でも自分が怖い人になるしかありません。