183. 最初に結論を書く国、最後まで言わない国

 

 日本を代表するエッセイの一つとして、朝日新聞の「天声人語」がよく挙げられます。他の新聞においても、同様のコラムを担当されている書き手の博識ぶりには、驚きと尊敬を禁じ得ません。 

 こうした新聞エッセイの書き方には特徴があります。代表的なのは、本題とは直接関係のないものの、読者の興味を引く歴史的事象や書物の紹介から書き始め、そこから主題と筆者の考えへと展開していく構成です。前段は、落語でいえば「マクラ」に相当します。起承転結が強く意識された構成と言えるでしょう。 

 このパターンは、私たちが読み慣れてきた論文や文章のスタイルでもあり、日本的な論理的思考の典型の一つだと考えられます。 

 

 渡邉雅子氏の著書『論理的思考とは何か』(岩波新書)によれば、世界には少なくとも四通りの異なる論理的思考の文章パターンが存在するそうです。具体的には、 

・アメリカのエッセイ
・フランスのディセルタシオン(バカロレア=高校卒業試験で課される哲学の自由作文)
・イランのエンシャー(小・中・高校で学ぶ課題作文)
・日本の感想文(日本の小・中・高校における作文) 

が挙げられています。 

 そして、これら四つの作文様式は、それぞれアメリカでは経済、フランスでは政治、イランでは法律、日本では社会のロジックを体現していると指摘されています。論理的思考の文章化は、決して世界共通のものではないということです。 

 

 確かに、アメリカの書物を読むと、その展開に違和感を覚えることがあります。証拠を突きつけながら、「自分の考えはこうだ」と論理的に読者を説得する構成が基本です。文章構成も起承転結ではなく、いわゆる「5パラグラフ構成」が標準とされています。すなわち、 

 導入(Introduction):テーマの提示と明確な主張(Thesis Statement)
 本文(Body):主張を支える三つの論点を、それぞれ一つの段落で展開
 結論(Conclusion):要点の再確認とまとめ 

という流れです。 

 

 これに対し、「天声人語」に代表される日本語のエッセイや作文は、構成の自由度が比較的高く、起承転結のスタイルが好まれます。文体の美しさが重視され、個人の体験や感情を軸に話が進み、主張も直接的に押し出すのではなく、共感を通じてゆるやかに伝えられます。両者は、まったく異なる文章文化と言えるでしょう。 

 

 各国の違いを正しく理解したうえで、それぞれの論理や文章に向き合っていく必要があることを、あらためて痛感します。 

 

少し長くなりますが、AIくんに「読書の大切さ」をテーマに日本式とアメリカ式のエッセイを書いてもらいました。 

違いがよくわかります。 

 

日本式エッセイ 

 小学生の頃、母が毎晩読み聞かせてくれた本が、私の読書習慣の始まりだった。ページをめくるたびに、物語の世界に入り込む楽しさを知った。 

受験や部活動で忙しくなる中でも、本を読むことで心が落ち着き、日常から少し離れられるような気がした。特に悩んでいた時に読んだ一冊の本が、自分の考え方を大きく変えてくれた。 

今でも本は、私にとって心の支えだ。読書はただの知識ではなく、生き方に寄り添ってくれる存在だと思う。 

 

アメリカ式エッセイ 

 読書は個人の成長と心の健康に不可欠です。 

まず、読書は批判的思考力を高めます。複雑な物語や議論を読むことで、情報を分析し解釈する方法を学びます。 

次に、読書はストレスを軽減します。研究によると、数分の読書でも心拍数が下がり、筋肉の緊張が和らぐことが分かっています。 

最後に、読書は私たちの世界観を広げます。本を通して、私たちは異なる文化、視点、そして考え方に触れることができます。 

結論として、読書は単なる趣味ではなく、知的かつ感情的な発達のための強力なツールなのです。  

 

 

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