(20)いまさら聞けない「分離度」
分離度は、文字通り隣接するピーク間の分離の尺度です。
図1の様にパラメーターを設定したとき、式1或いは式2から得られる値と定義されています。
ピーク形状をガウス分布とした場合、ピーク幅はW = 4σ(σ:標準偏差)、ピーク半値幅はW0.5h = 2.354σとなりますので、式1と式2は等価です。なお、JISや日本薬局方では、式1で分離度を定義しています。
分離度と実際のピークの分離の様子について、少し解説を加えておきましょう。
2つのピークがガウス分布でありピーク高さ、ピーク幅が等しいというのが前提です。
① 分離度1.0の場合
R = 1.0では保持時間の差はtR2-tR1 = 1.0×W = 1.0×4σ = 4σとなります。
ガウス分布では、4σの中に95.4 %の成分が含まれます。
2つのピークが重なり合った部分の谷間に垂線を引いた時の外側の部分は、
(100 %-95.4 %)/2 = 2.3 %
つまりピークの2.3 %が隣接するピーク側にはみ出している(埋もれている状態)と言え、隣接する2つのピークの分離は不十分とみなされます。
② 分離度1.5の場合
R = 1.5では保持時間の差はtR2-tR1 = 1.0×W = 1.0×6σ = 6σとなります。
ガウス分布では6σの中には99.7 % が含まれますので、
ピークの重なりは(100 %-99.7 %)/2 = 0.15 %となります。
日本薬局方では、完全分離は「分離度1.5 以上」と定めています。
図の引用文献:島津製作所 LCtalk 71
https://www.an.shimadzu.co.jp/hplc/support/lib/lctalk/81/81intro.htm