(19)いまさら聞けない「シンメトリー係数を改善する方法」
ここでは、テーリング、リーディングの原因と代表的な改善方法について、箇条書きで説明します。
1.テーリング
1)逆相HPLCで塩基性化合物を測定するときにおこるテーリング
これは、残存シラノール基と塩基性化合物との相互作用が関係しています。
①エンドキャッピングの優れたカラムを用いてみる
②溶離液を中性から酸性に下げる
固定相中の残存シラノール基の解離が酸性にすることで抑えられ、塩基性化合物との相互作用が低減される効果と考えられます。移動相に酸(トリフルオロ酢酸や酢酸など)を0.1~1 %程度添加するとテーリングが低減される可能性があります。
2)移動相がアセトニトリルで起こるテーリング
①メタノールに変更してみる
移動相中のメタノールが固定相の残存シラノール基と水素結合し、分析する化合物との相互作用を減じる効果を狙ったものです。
②移動相にトリメチルアミンやイオン対試薬を添加する
これは、①と同じ効果を狙ったものです。
3)金属配位性の強い化合物のテーリング
①移動相にEDTAを添加する
金属配位性の強い化合物は、充塡剤に含まれる微量の金属と配位して、それがテーリングの原因になる場合があります。移動相にキレート能の高いEDTA・2Na(エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム)を5mM程度添加すると改善する可能性があります。
2.リーディング
1)移動相と比べて溶出力やpHの差が大きい溶媒に試料を溶解した場合で、特にそれを大量に注入した場合に発生する事が多い。
①試料を移動相に溶解させる
②溶けない場合には、溶解する溶媒に溶かし、移動相で希釈する
③注入量を出来るだけ少量にすると改善される場合がある
参考文献 :
JIS K01242011 高速液体クロマトグラフィー通則,日本規格協会 (2013).