(30)検査で用いる統計 ① 感度と特異度

1回は「感度特異度です。 

 

 「感度」は分析でよく用いられる言葉です。測定の対象となる物質(群)を検出する能力で感度がいいことを検出限界、定量限界の値で表現します。 

分析の世界では、特異度ではなく特異性(Specificity)という言葉があります。これは共存成分の存在下でも対象が正確に測定できる能力のことで、HPLCではピークの単一性で特異性が高いことを証明します。 

 

さて、病気であるかどうかを調べる検査で、感度・特異度は以下のように定義されています。 

〇 感度病気の人を検出する力
〇 特異度:病気でない人を検出する力 

 感度は分析の場合と似ていますね。 

 

数字を使って具体的に説明していきましょう。 

あらかじめ信頼性のある方法(確定診断など)で、病気Xに罹患している人と病気でない人が分かっていたとします。別のある検査で病気の人で検査が陽性であった人の割合をその検査における「感度」、病気でない人で検査が陰性であった人の割合を「特異度といいます 

Test Results

 この表では、病気Xだった100人とそうでない200人に対して検査を実施しています。病気Xの群で検査陽性が98人ですから感度は98%、病気Xでない群での検査陰性は190人、特異度は95%と計算されます。 

 

感度が非常に高い検査では病気を見逃すことはほとんどありません。感度があまり高くない検査では、陰性の検査結果であっても一定の割合での見逃し(偽陰性)があることになります 

一方、特異度が非常に高い検査では、検査で陰性の人はその病気ではない可能性が高い(安心?)といえます。逆に特異性が低い検査では、病気でない人も病気の可能性があると判定されてしまう(偽陽性)割合が高くなります。 

 

検査の陽性、陰性との境目をカットオフ値といいますが、これをどのように決めるかで感度・特異度が大きく変わってきます。カットオフ値の設定については、このシリーズの最後の方で説明します。 

Health Diagnostics

 

 

 

 

Follow me!