(45)シリーズ 血液中のアミノ酸測定の標準化 ② 血液中のアミノ酸濃度は疾病判定や健康リスク診断に有効です
血液中の遊離アミノ酸濃度の変動は、フェニルケトン尿症などの先天性代謝異常の診断指標、肝機能不全の重症度判定や治療の指標であり、栄養状態不良の患者の病態把握にも用いられます。
フィッシャー比は肝疾患の診断や予測として有名です。
フィッシャー比とは、分枝鎖アミノ酸(branched chain amino acid: BCAA;イソロイシン・ロイシン・バリン)と芳香族アミノ酸(aromatic amino acid: AAA;チロシン・フェニルアラニン)のモル比(BCAA/AAA)です。フィッシャー比の正常値は3~4ですが、肝炎・肝硬変・劇症肝炎・肝性脳症などの肝不全では値が低くなり、1.8を下回ると治療の対象となります。肝機能が低下すると、肝臓から血液へのチロシンやフェニルアラニンの供給量が増加し、筋肉などの分枝鎖アミノ酸の分解が促進されることが原因といわれています。
他の疾病でも血漿遊離アミノ酸濃度の変化やバランスの変動があることが報告されています。
代表的なものに、疾病ごとにその罹患リスクを判定する「アミノインデックスリスクスクリーニング」があります。いくつかのアミノ酸の変化を組み合わせて解析すると、罹患リスクを判定することができます。
例えば、肺がんでは血漿中のオルニチンやセリンの濃度が上がり、グルタミンやヒスチジンの濃度は下がります。これらを組み合わせることで、患者群の判別能が上がります。
「アミノインデックスリスクスクリーニング」は、現在「がん」であるリスクと「認知機能」が低下している可能性、10年以内に「脳卒中や心筋梗塞」を発症するリスクと4年以内に「糖尿病」を発症するリスクが判定できるようになっています。「がん」については男性5種類、女性6種類それぞれのリスクを評価できます。
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