(48)シリーズ 血液中のアミノ酸測定の標準化 ⑤ 9分でアミノ酸を正確に測定できる時代

 測定に120分を要していたアミノ酸分析の世界に、画期的な進歩がありました。
アミノ酸38種類を9分で測定する方法が開発され、大手の臨床検査会社で実際に使用されています(図1)。
プレカラム誘導体化LC/MSという原理で、HPLCを使うこと以外は従来のポストカラム誘導体化HPLCとは大きく異なります。

 ポイントを表にまとめました。
table48-1

  ポストカラム誘導体化HPLCでは、それぞれのアミノ酸をカラムで区別(分離)するしかありませんでしたが、プレカラム誘導体化LC/MSでは質量分析計を用いることで、カラムだけでなく分子量の違いでもアミノ酸を区別できます。 

 また、アミノ酸と試薬APDSとをLC/MS測定前に反応(プレカラム誘導体化)させることで、LC/MSでのアミノ酸相互の分離能が高められ、さらに質量分析に重要なイオン化効率が高められます 

 測定時間をもっと短くすることも可能でしたが、分子量の同じアミノ酸(例えばロイシンとイソロイシン)はカラムで分離しなければならず、また測定するすべてのアミノ酸の定量性を高める必要があり、検討の結果、測定時間は9分となりました。 

 プレカラム誘導体化は自動化が困難とされていましたが、(株)島津製作所がアミノ酸分析専用装置UF-Amino Stationを開発し、誘導体化反応と連続した測定の自動化が実現しました。装置専用の試薬、移動相などは富士フイルム和光純薬(株)から購入でき、オペレーターによる人為的なエラーや誤差を最小限に抑えられるようになっています。 

 

装置については、(株)島津製作所の下記のURLをご参照ください。
https://www.an.shimadzu.co.jp/products/liquid-chromatography/hplc-system/uf-amino-station/index.html 

 

 図2従来のアミノ酸分析計(ポストカラム誘導体化HPLC)とプレカラム誘導体化LC/MSヒト血漿遊離アミノ酸濃度をそれぞれ測定した結果を比較しています
分析時間と分析の正確性・精度とはトレードオフ(時間をかければ精度がよく短いと精度が悪い)と思われがちですが、どのアミノ酸も極めてよい相関がありデータの同等性が証明されています。
プレカラム誘導体化LC/MSのバリデーション結果の詳細は文献をご参照ください1)
プレカラム誘導体化LC/MS血漿試料のアミノ酸測定に特化したものではなくもちろん食品や生化学領域の試料にも有用であることを付け加えておきます2) 

Amino Acid Analysis Chromatogram

図1 UF-Amino Station による38種類のアミノ酸分析

UF- Amino Station

島津 UF- Amino Station

Reagents

分析用試薬

 

Post-column derivatization HPLC &Pre-column derivatized LC/MS

図2 ポストカラム誘導体化HPLCとプレカラム誘導体化LC/MSによる血漿遊離アミノ酸濃度の比較(横軸がポストカラム法、縦軸がプレカラム法)

 【参考文献】
1) H. Yoshida, K. Kondo, H. Yamamoto, N. Kageyama, S. Ozawa, K. Shimbo, T.  Muramatsu, A. Imaizumi, T. Mizukoshi, J. Masuda, D. Nakayama, Y. Hayakawa, K. Watanabe, K, Mukaibatake, H. Miyano : J Chromatogr B, 998-999, 88 (2015). DOI: 10.1016/j.jchromb.2015.05.029
2) 渡邊京子,早川禎宏,増田潤一,吉田寛郎,宮野博 : 島津評論 69(12) 47 (2012). https://www.shimadzu.co.jp/products/tec_news/srv69_12/report07.html 

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