(49)シリーズ 血液中のアミノ酸測定の標準化 ⑥ 血液中のアミノ酸測定は問題だらけ!?
臨床検査の「アミノ酸分画」では、どの程度のアミノ酸濃度の違いを見ていたのでしょうか?
先天性代謝異常では特定のアミノ酸濃度は明らかに異常値となります。
フィッシャー比は正常値が3~4、疾患の判定基準が1.8以下です。極端にいえば分岐鎖アミノ酸が半分、または芳香族アミノ酸が2倍、或いはそれぞれが2/3と1.5倍の状況が捉えられれば判定できるレベルでした。
つまり対象となる疾患は、アミノ酸濃度が大きく変化するものでした。また、これらのアミノ酸はとても安定で、扱い上の注意がほとんど必要ないものです。
しかし「すべてのアミノ酸」の濃度を正確に定量するためには、採血した後にさまざまな注意を払わないといけません。
採血管の中でアミノ酸の濃度はどんどん変化しています。
実は採血のタイミングからケアをしなければなりません。
試料として、血漿と血清、どちらが適切かの理由もまだ説明していませんね。
アミノ酸濃度の主な変動要因(注意をするポイント)を列挙してみます。
1)採血時間
血漿中の濃度が日内で変動をするアミノ酸があります。アミノ酸のサーカディアンリズムに注意が必要です。
2)食後からの経過時間
当然ながら、アミノ酸濃度は食事の影響を受けます。
3)試料とする血液成分
なぜ、血漿でなければならないのでしょうか。
4)採血直後からの分析計に供するまでの試料の保管方法
血液や血漿の温度管理など、試料の取扱いには気を遣う点がたくさんあります。
5)除タンパク等の前処理方法
それぞれのポイントについて、次回以降で解説していきます。