(50)シリーズ 血液中のアミノ酸測定の標準化 ⑦ 戦いは「いつ採血するか」から始まっている

アミノ酸測定では、いつ採血をしてもよいというわけではありません。

血漿遊離アミノ酸濃度の恒常性は高いのですが、概日リズム(サーカディアンリズム)があることも知られています。アミノ酸の中には、1日の中で約30%も濃度が変動するものがあります。ということは、ほぼ決まった時刻に採血をしなければ、観測されたアミノ酸濃度の変動が、日内差なのか疾患などの異常が原因なのか、判別がつかないことになります。

 

また、容易に想像のつくことですが、アミノ酸濃度は食事の影響を受けます。食物中のタンパク質は、食後消化・分解されるので、アミノ酸濃度はしばらく高い状態が続きます。
鶏のササミをたくさん食べた後、血漿遊離アミノ酸濃度が食事前のレベルに戻るのにどのくらいの時間が必要か?
私もその被験者の一人でした。この実験の結果は論文になっていますので、興味のある方はお読みください。

結論として、食後8時間以上あけて採血することが必要です。
PLoS One. 2013 May 7;8(5):e62929. doi: 10.1371/journal.pone.0062929.

 

中性脂肪が高いと乳糜(び)が観察されることがあります。いわゆる脂っぽいものを食べた後、その現象が起こりやすいようです。
概日リズムと食事の影響を考慮すると、血漿遊離アミノ酸濃度測定のためには、通常の健康診断が行われるタイミング、朝の空腹時、午前7時〜午前10時に採血をするのが適切ということになります。

前日の夕食には脂っぽいものは出来るだけ少なめで、ということもお願いしておきます。

collecting blood samples        Time

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