(56)シリーズ 血液中のアミノ酸測定の標準化 ⑬ 初めて正確に求められた血漿アミノ酸の基準濃度範囲

ここまで述べてきたことは「標準化された血漿中アミノ酸分析の手順」です。

標準化には3つの要素がありました。
1)分析装置(UF-Amino Stationと試薬)の性能
2)アミノ酸を身体内と同じ濃度で測定するための試料の取扱い手順
3)SIトレーサブルなアミノ酸混合認証標準液

 

科学的エビデンスに基づき、すべての環境が完全に整備できました。
ここまで述べてきたことを忠実に実行すれば、血漿遊離アミノ酸濃度は、だれがいつどこで測定しても同じ試料であれば同じ値となります。

Standardization and Database Flow

 

この手順で求められた血漿アミノ酸の基準濃度範囲を表に示しました。
ここに示された21種類のアミノ酸は、血漿中に比較的多く含まれ、これまでの報告で疾患や栄養状態との関連性が強く指摘されているものになります。
2008年の日本の人間ドックでの検診者7685名の血漿遊離アミノ酸を測定し、除外基準に基づき選択した1890名(男性901名,女性989名)を基準個体として解析されたものです。

標準化された手順と装置で測定したアミノ酸値は、この基準濃度範囲と比較することが出来ます。

この表では分かりにくい?

Amino Acid Reference Concentration Range

そうですよね。次回もう少し工夫して、また背景因子との関連についても考察したいと思います。

【参考文献】
1.Yamamoto, K. Kondo, T. Tanaka, T. Muramatsu, H. Yoshida, A. Imaizumi, K. Nagao, Y. Noguchi, H. Miyano : Ann Clin Biochem, May;53(Pt 3), 357 (2016). doi: 10.1177/0004563215583360
2.宮野 博,渭原 博,橋詰直孝,廣田晃一,桑 克彦,市原清志,安東敏彦,門脇基二,遠藤文夫,杤久保修 : 臨床化学, 47, 64 (2018)

 

Follow me!