63.ジペプチド分析① ジペプチドとは?

 これまでにアミノ酸分析に関してTipsで数多く紹介してきました。
ここでは、アミノ酸が2つ結合したジペプチドの測定について、シリーズで解説していきます。 

 

目次 

① ジペプチドとは?
② ジペプチドの有用性
③ ジペプチドの分析が簡単ではない理由
④ フェニルイソシアネートと反応したジペプチドのマススペクトル
⑤ プレカラム誘導体化LC/MS/MSで可能となるジペプチドの網羅的分析
⑥ ジペプチド分析の事例とトリペプチド分析への応用 

 

今回は① ジペプチドとは? です。

 ジペプチドは自然界に多く存在しています。 

 もっとも知られているジペプチドは、イミダゾールジペプチド(imidazole dipepide)ではないかと思います。これはβ-アラニンとヒスチジン或いはヒスチジン類縁体とで構成されるジペプチドの総称です。β-アラニンとヒスチジンが結合したジペプチドがカルノシン、そのヒスチジンの1位の窒素がメチル化されたものがアンセリンで、これらをご存じの方も多いでしょう。またヒスチジンの3位の窒素がメチル化されたものをバレニンといいます。それぞれの構造式を図に示しました。  

 

dipeptide

http://www.cyclochem.com/bank/bank_imidazole-dipeptide.html
(株式会社シクロケム
webサイトより転載) 

 

 カルノシンは1900年に肉エキスから、アンセリンは1929年にガチョウの筋肉組織からそれぞれ発見された動物由来のジペプチドです。どちらもさまざまな動物種の筋肉組織に存在し、特に鶏ムネ肉に多く含まれます。イミダゾールジペプチドは、生体中におけるpHの平衡能、嗅覚組織に必須な金属をキレートする作用やラジカル消去能を持つ抗酸化剤としての機能があることが知られています。 

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