136.健康に欠かせない人とのつながり その2

 さて、前回は小説の中でのお話でしたが、今回は私の体験談です。 

  まず、なぜ65歳にこだわっていたかというと、私が65歳だからです。年金を受け取ることが出来たり、予防接種に補助金がついたりするのは65歳からです。それに輪をかけて、多くの社会に不都合な出来事が報じられるとき、しばしば「これらのうち65歳以上の高齢者が占める割合は全体の○%(〇は70より大きな数のことが多い)です」と区別されてしまうので、否が応でもその年齢を意識させられます。定年延長も一般的になりつつありますが、それも実質65歳までが現状のようです。 

  先日十数人の集まりがありました。参加者で私より年長者が4人いましたが、その4名ともきちんとした仕事を持っています。具体的に書くとその人物を特定されかねないので控えますが、仕事といってもボランティア活動の方もいるのですが、みなさん、毎日、毎週働いています。 

 その方々に共通しているのは、いわゆる年齢を感じさせない、生き生きとしていて声にも張りがあるということです。とても健康そうで、その源は、人とのつながりが毎日「ある」ということなのだろうと思いました。そこが自称「衰えが著しい高齢者」の私と決定的に違うところです。 

 別に落ち込んでいるわけではありませんよ。 

 私は自らの選択で61歳になる前に定職に就かず「消極的」フリーランスになりました。いろいろな事情で仕事をする気力が萎えていた時期でもありました。自分の選択に後悔はないのですが、夕方コンビニのレジで「箸を一膳ください」というのが、今日最初の発声だったなと気付く生活は健康的でないとも感じています。 

 

 未だに心身の問題は個人の思考や行動が重視されがちです。「あなたが変わらなければ駄目じゃない」っていう感じでしょうか。しかし、強い人ばかりではありません。特に一人になると人は弱っちいものです。 

 

 前回紹介した「命の格差は止められるか」では、「個人の行動変容は、社会全体の枠組みを形成する中で、はじめて実現可能になるのです。」(214頁引用)とあります。それほど大げさなものではありませんが、人とのつながりが苦手な私の行動を変えやすくするものの一つがこのような集まりですので、感謝の念と共にこれからも大切にしたいと思っています。 

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