75. ミニ知識:人名由来の実験器具
今回は人名に由来する実験器具を紹介します。
「ブンゼンバーナー」(bunsen burner)は、理科実験で一般的に用いられるバーナーです。筒の下部に下からガス調整(調節)ネジ、空気調整(調節)ネジが有り、可燃性ガスと空気の流速を相互に制御しながら安全に燃焼させることが出来る仕組みになっています。このブンゼンバーナーは、ロベルト・ヴィルヘルム・ブンゼン(Robert Wilhelm Bunsen、1811年~1899年)に由来しています。ブンゼンは、1860年にセシウム(Cs)、1861年にルビジウム(Rb)を発見したことでも知られているドイツの化学者です。

ブンゼンバーナー https://san-web.co-sansyo.co.jp/sanweb/d/91-1802より引用
「ジムロート冷却器」は、ドイツの化学者オットー・ジムロート(Otto Dimroth, 1872年~1940年)に由来しています。19世紀後半に考案されたガラス製の冷却器で、化学反応等の溶媒蒸気を効率よく凝縮出来ます。螺旋状に巻かれたガラス管内に冷却水を通すことで、蒸気を効率良く冷やす事が出来るので、低沸点の溶媒の還流実験にも適しています。どちらから先に水を流すかで悩んだ方も多いのではないでしょうか。クルクルパッと覚えると私たちの時代は習いました。つまり外側のクルクルから冷却水を流すほうが効率がよく、そうなるように接続します。

ジムロート冷却器 https://www.tech-jam.com/archives/294780より引用
「ファラデーカップ」(英語: faraday cup)は、電磁気学及び電気化学で著名なマイケル・ファラデー(Michael Faraday、1791年~1867年)に因んで名付けられたもので、金属製(導電性)のカップで、帯電した粒子を真空中で捕捉する装置で、荷電粒子や電子を検出する時に使用されます。
マイケル・ファラデーに由来する名称はたくさんあります。例えば静電容量のSI単位「ファラド (F)」はファラデーに因んでいるし、1モルの電子の電荷に相当するファラデー定数にも名を残しています。また、ファラデーの電磁誘導の法則「電磁誘導において、1つの回路に生じる誘導起電力の大きさはその回路を貫く磁界の変化の割合に比例する」も有名ですよね。
日本人名に由来する実験器具では、「坂口フラスコ」が有名です(図1)。東京大学の坂口謹一郎先生がペニシリンの発酵生産法の確立を目指して開発したもので、丸フラスコに座りが良い平らな底を付け、肩を貼り出した首長の形状で、振盪効果が良く、振盪中に飛沫が上がり難い工夫がなされています。