168. 分析技術をコストカットの対象にしてよいわけがない

ものを測定すること、そのデータを使って解析すること、いわゆる分析技術が企業(主に製造業)にとって大切だということはよく理解されているようです。

 

製品の安全・安心を守る技術であり、また測れないもの(何かしらの基準で評価できないもの)を市場に出してはいけません。会社の上層部になればなるほど、品質とそれを支える測定技術の重要性を認識していますし、そのことを社内外で強調します。

しかし、研究所で高性能な装置と高い専門性を有する研究員や技術者を維持して、その技術を向上させるためには、膨大な費用、つまりコストがかかります。

 

企業の業績が連続して悪くなると、コストカットの対象として目をつけられるのはこの分析部門になります。

  • これらの中で外注できるものはないのか? →固定費を変動費に変えたい
  • その高い技術で受託分析を始めてはどうか? →自分たちのコストは自分たちで稼げ

こんなことを言う奴らが必ず現れます。

 

ただでも余裕がないところに受託分析などを始め、リードタイムに追われる日々になれば、新しい技術を取り入れることが出来なくなります。

一部を外注することを全否定するわけではありません。そのためには外注した結果が正しいかどうか見分ける目利きを残しておく、そして育てることが必要です。それは「自分でやった」経験値がものをいいいます。外注を続ければ、人は育ちません。

そういう選択をする会社は自滅の道を選んだと同じです。

 

以前、特許のことを取り上げましたが、開発部門が出願した特許に分析部門が大きな寄与をしていても、発明者に名前を載せてもらえない企業が多いようです。
「縁の下の力持ち」という認識なのでしょう。分析部門は大切と言っていても、腹の内は見え見えです。
そのような認識の会社では、縁の下は知らず知らずに腐っていきます。家が傾きていきます。
そのようなモノづくり優先の風土の会社は、衰退するのみでしょう。会社の都合のいいように使われてはたまりません。

 

分析技術は縁の下の力持ちではありません。
会社の成長をけん引する源ですから、業績にかかわらずきちんと投資しておかなければなりません。

 

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