159.クリムト・アライブ 本物の絵が一つもない展覧会
先週は日本橋三井ホールで開催されている「クリムト・アライブ東京展」に行きました。
絵画だけではなく、展覧会に行って鑑賞することは私の趣味の一つです。かといって美術品や工芸品に関する知識があるわけではなく、行って、観て、感じることを楽しみとしています。
グスタフ・クリムトに関しても「クリムト=金色=エロティックな表情の女性」だけの知識(先入観)で会場に入りました。そして、会場を出て、本物の絵は一つもなかった、いわゆる展覧会ではなかったということにふと気がつきました。
WEBで調べると、没入型(イマーシブ)展覧会とあります。
https://klimtalive.jp/
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高さ7メートルの空間に巨大スクリーンを設置。光、色、音、香りのなかで、『接吻』『ユディト』『死と⽣』をはじめとするクリムトの傑作の数々が、会場全体に次々と映し出されていきます。映像とともに流れるクラシック⾳楽に⾝を委ねながら、クリムトの華やかな装飾性と官能美に⼼奪われる体験をお楽しみください。
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クラシック音楽と共にクリムトの作品、絵画全体であったりある部分を切り取ったり拡大したりした映像が会場のすべての壁、柱、床に流れるように映し出されていました。一般の展覧会にありがちの、歴史的背景やその時期作家がどこで暮らしてどのような人と交わりどのような影響を受けたかという解説はなく、しかし年齢と共に変化する作風が理解できるような構成の20分くらいのライブで、クリムトの世界観に浸ることができました。2回も観てしまいました。
クリムトの描く女性、とても写実的な時期もありましたが、どの時代の作品であっても観るものを惹きつける官能的な表情をしていました。クリムトといえば金色のイメージですが、このイマーシブな舞台には格好の題材だったのでしょう、暗い空間にあらわれる金色の世界は美しく、その時代に描かれた女性を引き立たせ魅力的に映し出されていました。
結論を言えば、クリムトに関しては、最初の先入観以上の知識を得られたとは言えません。そして「本物」の絵画に接することもありませんでしたが、感動する空間がそこにあり、真夏の素敵な時間を過しました。