(14)いまさら聞けない「ガウス分布」
クロマトグラフィーでは、「ピークがガウス分布と仮定する」という表現をよくします。ガウス分布、なんとなくわかります。図のような左右対称の山の曲線ですよね。
ガウス分布とは、統計を理解する上で大切な確率分布で、正規分布のことです。分布ですから、ヒストグラムの横軸を無限に細かくしたときの縦軸(度数)を線でつないだものがこの曲線です。つまり曲線とベースラインの間にたくさんのデータがあります(分布しています。)
ガウス分布を示すデータには、以下のような性質があります。
1.平均値と最頻値と中央値が一致してする。これが曲線の頂点の部分です。
2.平均値を中心にして左右対称であり、X軸に漸近線となる。頂点を中心にして左右対称です。
3.データのバラツキが大きいとブロードな曲線に、バラツキが小さいとシャープな曲線になる。これを統計的な用語を用いると、分散(標準偏差)が大きくなると、曲線の山は左右に広がりなだらかとなり、分散(標準偏差)が小さくなると、曲線は尖った形となります。
曲線がシャープでもブロードでも、それがガウス分布であれば、そのデータの分布と標準偏差σとには以下の関係があります。
平均値 ± 1σの範囲中に、全体の68.27 %
平均値 ± 2σの範囲中に、全体の95.45 %
平均値 ± 3σの範囲中に、全体の99.73 % が、それぞれ含まれています。
さて、クロマトグラフィーでは、物質はカラムの中で拡散をしながら移動していきますが、理想的には、その拡散したバンドの濃度はガウス分布となります。ですから、その状態で溶出されたものは左右対称のガウス分布の形をしたピークとして検出されることになります。
クロマトグラフィーのさまざまな評価指標はピークがガウス分布であることを基準にして定められています。