(12) LC/MS/MSを用いたプロテオーム解析:ショットガンプロテオミクスの手順 ②分離

 今回は、ペプチド断片のHPLCによる分離について、解説します。

[2]  HPLC

試料中の微量なタンパク質成分を検出するプロテオーム解析では、ナノHPLC のシステムが多用されています。ナノHPLCでは、内径 0.05 ~0.2 mm程度のカラムを使用し、数百nL/minという低流速で移動相を流します。ペプチドの拡散を防ぐと共にエレクトロスプレーイオン化により生成するイオンの質量分析計への導入効率が向上するので、高感度な分析が可能になります。

一方、毎分数百μL~数mL で移動相を流す通常のHPLCと比べると、技術的に注意する点も多くあります。ホールドアップボリュームの影響が大きいこと、液漏れなどに気づきにくいことがその例です。最近では、ナノ HPLC専用の操作性に優れたキットがメーカーから発売されています。

また、タンパク質はペプチドに断片化されていますので、試料中にはさまざまな性質をもつ膨大な数のペプチドが混在しています。つまり、試料の多様性が増大しています。

そこで、オンライン或いはオフラインでの分画操作を先に行う二次元HPLCを用いることがあります。この場合、一次元目の粗分画は、イオン交換系か高いpHでの逆相系HPLCで分離を行います。続いて、二次元目では通常のLC/MS/MSと同様、ギ酸とアセトニトリルを移動相とする逆相HPLCの系を用います。

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