(51)シリーズ 血液中のアミノ酸測定の標準化 ⑧ 試料が血漿でなければならない理由

1.血清ではいけないのか?

血漿と血清、言葉の響きも見た目もよく似ています。
採血して「室温で放置」すると、体内の止血機序と同じ作用が働き、採血管内で血液が固まって沈殿します。
その沈殿を「血餅」といい、上清の淡黄色の液体成分を「血清」といいます。

血漿と血清の一番の違いは「フィブリノゲン」という血液凝固に関わるタンパク質が成分にあるかどうかです。
フィブリノゲンの作用で血餅が出来ますので、血清にはフィブリゲンがほとんど含まれていません。
しかし、フィブリノゲンの有無が問題となるわけではありません。

「室温で放置」という過程が問題です。
次回に詳しく述べますが、遊離アミノ酸測定では「血液の温度管理」、具体的には「採血後の血液試料の急冷」が必須で、「室温放置は厳禁」です。
それが理由で血清試料を用いることができません。

血漿が凝固してしまうと試料とはなりませんので、抗凝固剤入りの採血管を用います。抗凝固剤にはEDTA-2Naを使用します。

 

2.試料が溶血していたら?

何らかの原因で赤血球が壊れると、ヘモグロビンが細胞から溶出して、血漿が赤くなります。これが溶血です。
溶血が影響を与える検査項目はいくつもありますが、遊離アミノ酸もその一つです。血球には、非必須アミノ酸が血漿の数倍の濃度のものもあるという報告があります。
明らかな溶血が認められる場合には、再採血をお願いします。

Blood Sample  collecting blood samples

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