(44)シリーズ 血液中のアミノ酸測定の標準化 ① ヒトの身体にはどのくらいのアミノ酸があるのか
人の身体の約20 %を占めるタンパク質は、20種類のアミノ酸で構成されています。
つまり身体の約20 %、水分を除く約半分がアミノ酸です。
人は1日に約70 gのアミノ酸を摂取します。また1日に約180 gのタンパク質を生合成し、一方で体内の180 gのタンパク質が分解しています。新陳代謝ですね。そして約70 gのアミノ酸を排泄します。
アミノ酸はタンパク質の中だけではなく、「遊離アミノ酸」として存在しています。遊離アミノ酸とはアラニンやリジンのように、化合物として単体で存在するアミノ酸です。体内に約50 g、数十種類くらい存在していて、内在性代謝物として重要な機能を担っています。
血液(正確には血漿)中には約1 gの遊離アミノ酸があります。ですから、血液検査で測定される遊離アミノ酸の総量は、体重の約5万分の1です。仮にアミノ酸が20種類と考えると、一つ一つの遊離アミノ酸は、更にその1/20、体重の百万分の1しかありません。
しかし、このわずかな血液中の遊離アミノ酸の少しの変動が、臨床化学的に重要な情報をもたらしてくれます。
因みに、アミノ酸にはヒトの身体の中で作ることができるもの(非必須アミノ酸)と出来ないもの(必須アミノ酸)があります。必須アミノ酸は人が生合成できないので、食物などで外部から取り入れなければなりません。非必須アミノ酸は人が生合成できる(外部から取り入れることが必須ではない)ということので、非必須という名称がついていますが、重要ではないアミノ酸という意味ではありませんので、念のため。