(31) 検査で用いる統計 ②陽性的中率
検査結果が陽性のときに本当に病気であること、陰性のときは病気でないこと、それぞれをどれだけ正しく判定出来るかは重要なポイントです。この指標が的中率です。
定義は簡単で、以下のようになります。
〇 陽性的中率:検査が陽性になった人の中で、真に疾患を有している人の割合
〇 陰性的中率:検査が陰性になった人の中で、真に疾患を有していない人の割合
前回と同じ表を用いて説明します。
検査陽性となった108人の中で病気Xだった人は98名でしたので、陽性的中率は98/108で約90 %となります。
検査陰性となった192人中病気Xでなかった人が190名ですから、陰性的中率は190/192で約99 %です。
ところで、的中率は検査の母集団によって大きく変わります。
上の例では母集団300人中100人、つまり三分の一が病気Xでした。 仮にこの病気が100人に1人程度しか罹患しないものだとすると、実際の臨床現場や人間ドックで大規模にデータを集めた場合、感度・特異度が同じだと次のような結果となります。
陽性的中率は98/598=約16 %となり、的中率が悪いと感じてしまいますよね。
一般的に、有病率が小さい(社会でその疾患の人が少ない)ほど、陽性的中率が下がります。
一方、「新しいバイオマーカーが発見され、陽性的中率が90%」という発表があっても、的中率という言葉や数字を鵜呑みにしてすばらしい検査と一概に信じてはいけません。
母集団を確認する必要があります。