(37)検査で用いる統計 ⑦カットオフ値とその決め方(前編)
カットオフ値とは、病気にかかっている人とそうでない人を判定する境目の検査の値です。
前回も示しましたが、検査値と病気の有無とが図のような分布をとっている場合、どこにカットオフ値を設定するかが大切です。簡単に言ってしまえば、カットオフ値は、感度と特異度のバランスから決めることになるのですが、そのカットオフ値の与える影響について、まず解説しておきましょう。
病気の人を見逃さないようにカットオフ値を設定することができます。
それは左図のように、出来るだけ感度が高くして疾病を見落とす可能性を小さくすることですね。しかし、そのようにカットオフ値を設定してしまうと、特異度が下がり偽陽性の人も増えてしまいます。そうなると、その病気でない多くの人にも、不要で高額なそして危険を伴う可能性のある追加の検査や治療を促すことになってしまいます。
また、右の図のように、感度を下げた(特異度を上げる)場合は、逆に偽陰性の人が増えてしまいます。疾患を見逃して適切な治療をせずに病気が重篤化する患者さんを増やすことになりかねません。
ですから、その病気の危険度、検査の目的、その判定が与えるさまざまな効果・影響などを考慮して、カットオフ値は設定されます。
(後編につづく)