(38)検査で用いる統計 ⑦カットオフ値とその決め方(後編)
前回、カットオフ値は、検査の目的やその判定が与えるさまざまな効果・影響を考えて設定されると書きました。 ここでは、ROC曲線からカットオフ値を決める「理論的な方法」を二つ紹介します。
① 左上隅からの距離が最小となる方法
以前に説明したとおり、感度100%、特異度100%、1-特異度が0%になるのが、最も優れた検査法です。これは座標(0, 100)で、その点とROC曲線の距離が最小となる点が感度、特異度の最大値です。それをカットオフ値とする方法があります。
② Youden’s indexを用いた方法
最も検査の有効性が低いROC曲線、すなわち原点を通る45度の線から最も離れたポイントをカットオフ値に選ぶという方法です。これは別の見方をすると、その点のXの値から縦軸方向に直線を引き、45度の線との交点、その距離が(感度+特異度-1)となります。この距離が最大値となるポイントがカットオフ値となります。