86.先進と先端

 

同じような意味の言葉でも、ずいぶんと異なる印象を与えるものがあるという話題です。

先日、横浜ゴム(株)の岸本浩通さんの講演を聞く機会がありました。
同社の分析解析部門の名称を「先進技術・イノベーション研究センター」にしたこと、そのセンター長である岸本浩通さんが「先進、advanced technology」という言葉にこだわった理由を語られていました。「自分たちの技術レベルを正しく理解し、それよりも1歩でも前に行く努力をしよう」というメッセージが、「先進」に込められています。

 

たまたま同じ週に、私の元部下がこれも講演会で、入社10年ほどは「先端分析研究グループ」に所属していたと自己紹介をしていました。そして、そのグループ名の命名者は私だったことを思い出しました。自分たちの研究技術の強み、ユニークなところを徹底的にのばし、その領域においては世界最先端といえる技術をめざし、それを武器として競争に勝っていこう思いをこめて、「先端」という言葉を入れました。

 

岸本さんは、自分たちには「先端」は無理だけど、前進は出来るはずだと謙遜されていましたが、実は「先端」も「先進」も命名者は同じことを意識しているように思います。

「自分の技術レベルや強みを正しく理解しよう」
「それを前進或いは強化していこう」
「それが会社の強みになるし、社会に貢献することになるはず」

岸本さんと話していて、「先端」は強すぎる言葉だったかもしれないと感じました。というのも、先端に共感してくれる人はいましたが、私には無理と内心思っていた人はずです。

より多くの人が身近に感じてくれる前向きな言葉は「先進」かもしれませんね。

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