(47)シリーズ 血液中のアミノ酸測定の標準化 ④ アミノ酸分析計は正確無比!しかし測定時間が120分!
臨床検査項目であるアミノ酸分画は、HPLCによる全自動アミノ酸分析計で測定されています。アミノ酸分析計の第一人者である日立ハイテクノロジーズの伊藤正人氏が、和光純薬時報で分析計について熱く・詳しく説明されていますのでご参照ください。
https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/siyaku-blog/027264.html
HPLCは汎用性が極めて高い測定法で、さまざまな化合物の分離・検出・定量に使われていますが、正確・精度においてこの全自動アミノ酸分析計の右に出るものはなく、「King of HPLC」と私は思っています。
アミノ酸分析計の歴史 https://www.hitachi-hightech.com/jp/ja/sinews/technology/6110303/ より引用
全自動アミノ酸分析計は、1958年に開発されています。
陽イオン交換樹脂でアミノ酸を分離した後のニンヒドリンでアミノ酸のみの発色を促して検出するポストカラム誘導体化HPLCといわれる手法が用いられています。
https://asfrontiers.com/2022/08/15/as_tips4/
この装置の唯一の問題は、分析時間が長いことです。詳細は省きますが、イオン交換HPLCを使うかぎり、劇的な分析時間の短縮は難しいと考えられます。タンパク質を構成するアミノ酸と生体に含まれるそれ以外の重要なアミノ酸類40種類の測定に約120分かかります。次のサンプルの測定開始までのインターバルを入れると1サイクル約2時間半、1日10サンプルを測定することもできません。
陽イオン交換樹脂でアミノ酸を測定した場合の代表的なクロマトグラム(完璧な分離!)
https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/siyaku-blog/027264.html
短時間で簡易にアミノ酸を測定する方法も研究されてきました。
例えば、フィッシャー比には全自動アミノ酸分析計を用いますが、分岐鎖アミノ酸とチロシンだけを定量してフィッシャー比の代替えとする方法(BTR法)が知られています。これには酵素法という手段が用いられていて、短時間で結果が判明します。
他のいくつかのアミノ酸についても同様な簡易法が開発されていますが、全てのアミノ酸を測定するまでには至っていません。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ajscs/32/0/32_5/_article/-char/ja/