(04)誘導体化HPLC ①誘導体化の基礎知識 

誘導体化とはなにか 
誘導体化とは、分析したい化合物に別の化合物(試薬)を結合させたり、分析したい化合物自体の構造を変化させたりする反応のことで、そのときに使用する試薬を誘導体化試薬といいます。 

アミノ酸や有機酸等、そのままでは特異的で高感度な測定が困難な化合物に対して有効な検出方法の一つで、それぞれアミノ基やカルボキシル基に選択的に反応する試薬を結合させて、発色させたり蛍光性をもたせたりします。(図1) 

図1 誘導体化とはなにか

誘導体化の種類 
誘導体化には、そのタイミングによって以下の2つに分類されます。 

プレカラム誘導体化法:試料中の分析種を前もって誘導体化してカラムへの注入し、反応生成物(誘導体)を分離・検出する方法 

ポストカラム誘導体化法:試料中の分析種をあらかじめカラムで分離した後に、オンラインで誘導体化して検出する方法 

図2 プレカラム誘導体化HPLCのイメージ
図3 ポストカラム誘導体化HPLCのイメージ

 

 

誘導体化の目的 
検出能と分離能の向上が、誘導体化の主たる目的です。 

 

図4 誘導体化の目的

例をあげて説明しましょう。 

アミノ酸のプレカラム誘導体化HPLC分析では、アミノ酸のアミノ基に特異的に反応する発蛍光性試薬を反応させた後にHPLCに供します。アミノ基を有する化合物(=アミノ酸)に目印をつけることで選択性の高い検出が、蛍光性をもたせることで高感度な検出が可能となります。これらは誘導体化による検出能の向上といえます。 

また、その誘導体化されたアミノ酸は、アミノ酸自体に比べて疎水性が高くなることが多いので、逆相系HPLCなど分離モードの選択肢が広がります。これは誘導体化による分離能向上の効果です。 

一方、ポストカラム誘導体化アミノ酸分析では、陽イオン交換カラムでアミノ酸を分離し、カラム出口でニンヒドリン試薬と反応させ発色させます。ニンヒドリンがアミノ酸と反応する性質を利用していること、また夾雑成分がほとんど観測されることのない570nmで検出することから、この方法は検出の選択性の向上が主な目的といえます。 

【参考文献 】
1) 日本分析化学会液体クロマトグラフィー研究懇談会編集,LC/MS,LC/MS/MS Q&A100 龍の巻,pp21-22,オーム社 (2017). 

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