139.それぞれの春 その1 新しく大学生になる方へ
先日、学生時代に同じサークルだった同級生の最終講義がありました。
実験物理学で素晴らしい業績をあげた大先生ですが、話し方は学生の頃とあまり変わっていないなと、内容が難しく理解不能だったこともあり、当時のことを懐かしく思いだしながら聴いていました。
また、別の同級生からは、教授退官の記念業績集をいただきました。自分の業績を振り返っているのですが、その文章には昔と変わらない彼の温かい人柄が感じられました。2人の研究分野は全く異なっているのですが、共通点は一流の研究者であるとともに教育者であり、後進の指導にも力を注いでいたということでした。
今から50年近く前の話で恐縮ですが、学生当時の私の目標は進学でした。高校、浪人時代は、いい大学(という定義もあいまいで、就職に有利な大学という意味かもしれません)に入ることが目標、東京大学に入学出来て、まず目標達成と思っていました(と勘違いしていました)。
語学と実習は出席が必須だったので、それだけ出席して、駒場寮や渋谷の街で遊ぶ生活でした。単位さえ取れればよいという考えで、試験直前に真面目に(普通に?)授業に出ていた人のノートをコピーさせてもらっていました。(という表現が既に古いですね。)
その生活が人生の中で無駄だったわけではないと思いたいのですが、著名な先生の講義を聴くチャンスを逃していたことは明らかです。先生との出会いとか、講義を聞いてこれは面白い、こういう世界があるのだと目を開かされ、その道に進もうとか、そのような劇的な体験が一つもありません。大変もったいないことをしていたし、今更ながら大いに後悔しているところです。
キャンパスに行けばそれだけで楽しいものです。新たな出会いの場でもあります。その出会いは人に出会うということだけでなく、これまでの画一的な勉強で得られるものとは全く違う「知」との遭遇の場でもあります。そしてその機会を与え、あなたを育ててのばしてくれる先生方がたくさんいるはずです。
貴重な時間を有意義に過ごしてくださいね。