78.言語化について私が経験してきたこと
言語化力、言語化能力が現在のビジネスシーンのキーワードの一つのようです。
Googleの生成AIによれば、「言語化能力とは、自分の考えや思い・感じていることを自分以外の誰かに伝える能力です。言葉にする力とも呼ばれ、頭の中で考えていることを言葉に変換し、文字や音声(会話)で自分以外の誰かに伝達する能力です。」と出てきます。
考え方やこれまでの経験が異なる相手に自分の考えや思いを伝えることは容易いことではありません。
言語化力に関連して、2つ私の経験を紹介したいと思います。
「とにかく、誰かに話を聞いてもらう」
考えを言葉に出して、たくさん話していくうちに自分の考えていることがまとまっていくことがあります。部下や共同研究者などに対して白板を使って自分の考えをビジュアル化しながら説明していました。相手のコメントは多いに助けになりました。話をしていくうちに自分の考えていたことが具体化したり、よりよいアイデアにつながっていったりします。言語化能力の不足は、自分の考えや方針がはっきりしていないことの裏返しということかもしれません。
一人で考えているだけでは限界があります。これは、口、目、耳を使って、相手に自分と同じ位置に立ってもらうだけでなく、自分を高めていくということにもなります。
「最終ゴール(完成したときの結果)を、あらかじめ1枚にまとめる」
これは、ある意味で優秀な研究者にありがちなのですが、その人が言っていることがわからない時があります。「これはこういう研究だ」といった感じで、そのプロセスを丁寧に説明してくれます。その人の頭の中では明確な筋道が立っているのでしょうし、常識的と思っていることを話してくれているのでしょうが、その研究グループのグループ長ですら理解できないものを他の人が理解できるはずがありません。残念ながら、優秀な研究者は、自分が他の人よりはるかに高いレベルにいることを認識していないのです。
そのようなときには、その人に私たちのレベルまで下りてきてもらうようにします。
「あなたの研究が1年後とてもうまくいったとして、その結果を「私」がプレゼンする。パワーポイント1枚、その資料を今から作って持ってきてほしい」
現役の皆さん、試しに1年後の結果のスライドを1枚にまとめて、かつビジュアル的にも分かりやすいものを作成してみてください。実は大変です。上司や周りに自分の研究を理解して支援してもらうとてもいい方法です。これも一つの言語化だと思います。