85. 裸の大将からヘラルボニーへ
1月末に友人と諏訪湖1周16キロのハイキングをしました。
諏訪大社下社、翌日は上社まで足をのばし、さらに上社の最寄り駅である茅野駅の近くにある「放浪美術館」を訪れました。(http://www.houro.net/)
放浪→裸の大将→芦屋雁之助→山下清と連想ゲームではありませんが、山下清氏の作品を集めた美術館です。公的なものではなく、木造平屋の建物の中に山下清氏の諏訪に関わる作品(諏訪大社とか諏訪湖と花火など)を中心に骨董屋さんが収集したものが展示されていました。入場すると絵ハガキを一枚いただけます。
美術館の名称にもあるとおり、山下清氏は「放浪」の天才画家といわれた人で、ちぎり絵が特に有名です。
山下清氏のWikipediaを少し引用しますが、
「知的障害児施設(清が入園した当時は救護法下の救護施設)「八幡学園」へ預ける。この学園での生活で「ちぎり紙細工」に出会う。これに没頭していく中で磨かれた才能は、1936年(昭和11年)から学園の顧問医を勤めていた精神病理学者・式場隆三郎の目に止まり、式場の指導を受けることで一層開花していった。」
その後、学園を脱走し、しばらく放浪しますが、それがドラマの設定になっています。
山下清氏が活躍したのは戦中から戦後ですが、みなさんは2018年に設立された「ヘラルボニー」という会社をご存じでしょうか?
ヘラルボニーは、国内外の福祉施設に在籍する知的障害の方々のデザインしたものや絵画を商品として販売し収益を障害者に配分している岩手県発のアートライフスタイルブランドです。経済産業省の「日本スタートアップ大賞 2022」で、「審査委員会特別賞」を受賞したり、さまざまなブランドとタイアップをしたりしているので、ブランド名を目にする機会が増えてきました。
起業の経緯や創業者(双子の兄弟。さらに上にお兄さんがいて、その方が重度の知的障害を伴う自閉症)の思いは『異彩を、放て。―「ヘラルボニー」が福祉×アートで世界を変える―』で理解することが出来ます。
https://www.shinchosha.co.jp/book/354811/
山下清氏に卓越した才能があったことはもちろんですが、それを篤志家 式場隆三郎氏が物心両面で支えて続けたことで、その作品を人々が知ることが出来ました。それからおよそ80年、知的障害の方々の作品が新しい発想のビジネスとして社会に広がり始めています。山下清氏や式場隆三郎氏は草葉の陰でこの様子を見て、さぞかし驚いているのではないでしょうか。