(58)シリーズ 「血液中のアミノ酸測定の標準化」の終了にあたって
生体内のアミノ酸情報、特に血漿遊離アミノ酸の濃度やその変化は、身体の「今の」状態を把握できる重要なバイオマーカーとして認知されつつあります。それを活用し健康に有用な情報を人々に提供するためには、科学的エビデンスに基づく精確な試験方法の確立と健常人の血漿アミノ酸濃度のデータベースの構築が必要でしたが、長年の多くの方々の努力によって、その環境が整いました。
ここで紹介した内容は、既に大手の臨床検査会社で導入されています。
血漿遊離アミノ酸の活用と新たな知見が増えていくことが期待されます。
また、ここで得られた生体試料扱いに関する知見は、さまざまな生理機能物質に対しても有用です。参考にしていただければ幸いです。
最後に、アミノ酸分析や血漿遊離アミノ酸分析の理解に有益な日本語の総説を紹介します。(いずれも所属は当時)
1)アミノ酸分析総論
「アミノ酸分析~新たな潮流~」和光純薬時報
第1回 アミノ酸分析の歴史とニンヒドリンによるアミノ酸分析法
株式会社日立ハイテクサイエンス:伊藤正人
https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/siyaku-blog/027264.html
第2回 アミノ酸分析の新しい潮流① 質量分析を利用したアミノ酸分析
東京大学大学院薬学系研究科:角田誠、住田有子
https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/siyaku-blog/027266.html
第3回 アミノ酸分析の新しい潮流② キラルに着目したアミノ酸分析
味の素株式会社イノベーション研究所:唐川幸聖、原田真志
https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/siyaku-blog/027272.html
第4回 ペプチド、タンパク質定量のための新技術
第一三共株式会社 研究開発本部 薬物動態研究:合田竜弥
https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/siyaku-blog/027632.html
第5回 SI トレーサブルなアミノ酸測定に向けた取り組み
産業技術総合研究所 計量標準総合センター:加藤愛、山﨑太一、井原俊英
https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/siyaku-blog/027638.html
2)ポストカラム誘導体化アミノ酸分析の総説
「LA8080高速アミノ酸分析計」日立ハイテク技術機関誌 SI NEWS
株式会社日立ハイテクサイエンス:伊藤正人ら
https://www.hitachi-hightech.com/jp/ja/sinews/technology/6110303/
3)血漿遊離アミノ酸分析の総説
「血漿中遊離アミノ酸濃度の基準範囲と試験法の標準化」ぶんせき2019(2)
味の素株式会社:中山聡、宮野博
https://www.jsac.or.jp/bunseki/pdf/bunseki2019/201902kaisetsu.pdf
「アミノ酸メタボロミクスの開発と応用」分析化学2020 年 69 巻 7.8 号 p. 329-339
味の素株式会社:宮野博
https://doi.org/10.2116/bunsekikagaku.69.329
お読みいただき、ありがとうございました。