26.イノベーションは1人では起こせない (1)

 味の素(株)が開発した、血液中のアミノ酸の濃度バランスから疾病のリスクを判定する検査を「アミノインデックス」といいます。
 リスク予測という言葉が普及した昨今ですが、「アミノインデックス」は日本で最初に健康リスクを訴求した検査です。

アミノインデックスでは、
・現在「がん」であるリスク
・現在「認知機能」が低下している可能性
・10年以内に「脳卒中や心筋梗塞」を発症するリスク
・4年以内に「糖尿病」を発症するリスク
を、一回の採血で同時に評価できます。


「がん」については、男性5種類、女性6種類それぞれのリスクを区別して評価することができます。
この「アミノインデックス」リスクスクリーニングは、「がん」の早期発見と所謂、生活習慣病の予防を促し、健康寿命の延伸に貢献しています。

 味の素(株)の基盤研究から生まれた「アミノインデックス」は、技術経営やオープンイノベーションの成功事例としても知られています。

 私は研究当初から関わってきた一人ですが、研究から開発を経て事業化にすすむそれぞれの段階で必要不可欠なキーパーソンがいました。

2回に分けて、その人たちの特徴を紹介していきたいと思います。

 研究段階では、とにかく実験をする人、表現はよくありませんが、猪突猛進でデータを出し続けるような人が必要です。ゼロからイチを生み出すためには、がむしゃらな実験者がいなければなりません。

 研究から事業化を目指す開発に進む段階では、テーマに関わる部門やメンバーが増えてきます。他社との連携もあります。このステージになると、研究所には、がむしゃらな実験者以外に重要な役割を演じる人物が必要となります。

開発では、研究ではわからなかった技術的な課題が顕在化し壁にぶつかることもしばしばです。そのとき、解決の道筋を明確に示すリーダーが必要です。社内外でその分野の高い専門性が認められていることが望ましいと思います。 論理的に解決策を説明できることも必要でしょうが、この人が言うことだから信頼できる、きっと解決できる、と部下も周りも安心する雰囲気をもつ人柄(カリスマ性)が重要です。

 

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