(41)続・検査で用いる統計 ③なぜオッズを使うのか(その1)

オッズ比もリスク比も、医学や薬学で二つの変数間のリスクを比較するときに使われる指標です。
オッズがなぜ重要なのか、私が理解している2つのことを説明しておきます。

〇 オッズは「ロジスティック回帰分析」の変数である。
〇 オッズ比は母集団の規模によって変化しない。

 

今回はロジスティック回帰分析の説明をします。

ロジスティック? 回帰分析? あと十数行、我慢して読んでください。

「回帰分析」とは、ある「結果」に関連する「要因」がどのくらい影響を与えているか、その関係を関数の形であらわす統計手法です。関数ですから、「結果」も「要因」も数値化する必要があります。因みに、「結果」を数値化したものを「目的変数(被説明変数)」といい、「要因」を数値化したものを「説明変数」といいます。
回帰分析にはいくつか種類があります。線形解析という単語を聞いたことがあると思いますが、これも回帰分析の一つです。(もちろん、ここでは説明しません。)しかし、今回のように「結果=目的変数」が「がん発症」か「発症しないか」の2択しかない場合、線形で扱うことはできません。

 

そこで用いられるのが「ロジスティック回帰分析」です。

ロジスティック回帰にも説明変数も目的変数も必要ですし、いずれも数値化する必要があります。その数値がオッズです。この例では、喫煙の有無(説明変数)とがん発症(目的変数)の関係がオッズで示されます。(オッズを対数に変換して用います。)

これ以上、詳しい説明はしません・・・

繰り返しになりますが、ある事象が起こる確率を予測するには、ロジスティック回帰分析を用います。今回の例は単純で「喫煙はがんの発生率にどう影響するか?」でしたが、喫煙本数やアルコール摂取量、睡眠時間、コレステロール値などを「説明変数」として、特定の病気の有無を「目的変数」にすれば、それぞれの疾病を引き起こす要因の予測が可能です。

ロジスティック回帰分析は、他にも製造業における故障の発生有無や、オンラインサービスにおける顧客の離脱の発生有無を予測など、さまざまな分野で使用されています。

various risk41-1 maintenance

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